「あなたの“手”が、脳に語りかけているとしたら?」
皮膚と脳は、見た目以上に深い関係を持っています。東洋医学や感覚統合の分野でも語られる「皮脳同根(ひのうどうこん)」という考え方は、現代医学でもその意味が注目され始めています。今回は、皮膚と脳の関係をわかりやすくご紹介し、マッサージや鍼灸がどのように心と体に作用するのかをご説明します。
皮膚と脳のつながりとは?
実は、私たちの皮膚と脳は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で育つ時期、同じ場所(外胚葉)から生まれます。つまり、皮膚と脳は“同じ根っこ”を持っているのです。これは、皮膚が単に外側を覆っているだけの存在ではなく、脳と情報をやりとりしている非常に重要な器官であることを示しています。
やさしく触れると、脳が喜ぶ 皮膚には、触覚や温度、痛みなどを感じ取るセンサー(神経受容体)がたくさんあります。その中でも「C触覚線維」と呼ばれる神経は、ゆっくりとしたやさしいタッチに反応して「快い」と感じる信号を脳に送ります。この刺激が脳の“安心の中枢”に届くことで、リラックスや幸福感が生まれます。
鍼灸・マッサージの効果は脳にも届く やさしく意図されたタッチ(お灸やマッサージなど)は、脳にとっても「気持ちいい」と感じる刺激です。これにより、
- ストレスホルモン(コルチゾール)が減る
- 幸福ホルモン(セロトニン)が増える
- 自律神経のバランスが整う
- 睡眠の質が良くなる
といった嬉しい効果が、さまざまな研究で示されています。
鍼灸師の“手”が持つ力 丁寧に施術された鍼やお灸は、単に体の表面を刺激するだけでなく、脳と心にまで届きます。特に、信頼できる施術者による触れ方には、「安心」「信頼」「つながり」といった感情が生まれやすくなり、それが心身の回復力を高めるのです。
まとめ
皮膚は、ただのバリアではなく、心と体をつなぐ“感覚の入り口”です。 鍼灸やマッサージによるやさしい刺激は、皮膚を通じて脳や自律神経に働きかけ、全身を整えてくれます。「皮脳同根」の考え方を知ることで、治療の効果をより実感していただけるでしょう。施術を通して、皆さまの体と心がより元気になりますように。
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