お灸(きゅう・灸治療)は、東洋医学に基づいた伝統的な施術法で、もぐさ(ヨモギの葉を精製したもの)を燃やして身体のツボを温め、自然治癒力を高める療法です。鍼と並んで「鍼灸療法」の一つとして、日本でも古くから親しまれています。
お灸の基本的な仕組み
お灸は、身体にある経絡(けいらく)上の「ツボ(経穴)」に熱刺激を与えることで、気(エネルギー)の流れや血流を整えるという考えに基づいています。
もぐさの燃焼による温熱刺激が、自律神経・免疫・ホルモンの働きを調整します。
お灸の主な効果・効能(東洋医学・現代医学の両面から)
効果・効能 | 詳細説明 |
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✅ 血行促進 | 熱刺激により血管が拡張し、血流が改善。冷え性・肩こり・腰痛などに効果的 |
✅ 自律神経の調整 | リラックス作用で交感神経と副交感神経のバランスが整い、ストレス・不眠にも良い |
✅ 免疫力の向上 | 白血球・リンパ球の活性化が報告されており、風邪予防や体調維持にも効果 |
✅ 内臓機能の調整 | 胃腸の不調、生理不順、便秘などに対して、経絡を通じて内臓に働きかける |
✅ 疼痛緩和 | ツボへの温熱刺激が、鎮痛物質の放出を促す(エンドルフィンなど) |
✅ 冷え性改善 | 冷えに伴う月経痛、足先のしびれなどに対して、深部から体を温める |
✅ ホルモンバランスの調整 | 更年期障害・PMS・生理痛などの女性特有の症状にも効果があるとされる |
具体的なお灸の応用例(症状別)
症状 | よく使われるツボ例 | 補足説明 |
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冷え性 | 三陰交、足三里、関元 | 下半身の血行促進、婦人科系にも効果あり |
肩こり・首こり | 肩井、天柱、風池 | 血流改善と筋肉の緊張緩和 |
胃腸の不調 | 中脘、足三里、合谷 | 胃もたれ・便秘・下痢などにも対応可能 |
生理痛・PMS | 三陰交、気海、太衝 | 骨盤内の血流改善、ホルモン調整 |
ストレス・不眠 | 神門、内関、百会 | 自律神経のバランスを整え、リラックス効果 |
お灸の種類
種類 | 特徴 | 主な用途 |
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直接灸 | もぐさを直接皮膚に乗せて燃やす | 強い刺激が必要なとき(熟練者向け) |
間接灸 | もぐさと皮膚の間に台紙やショウガなどを挟む | 一般家庭用や初心者向け |
せんねん灸など | 市販の台座付きお灸(簡単・安全) | 自宅でのセルフケアに人気 |
電気温灸 | 火を使わず電気で温熱刺激を与える | 病院や介護施設などでも使用されることがある |
注意点・副作用について
使用時の注意点
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火傷に注意(特に直接灸)
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食後すぐや、発熱時、飲酒後は避ける
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妊娠中の施術は、ツボによって禁忌があるため、専門家に相談を
好転反応が出ることも
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一時的にだるさ、眠気、排尿・発汗の増加などが出ることがありますが、これは体が調整を始めたサインです
まとめ
ポイント | 内容 |
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お灸とは | もぐさを燃やしてツボに温熱刺激を与える療法 |
主な効果 | 血行促進、自律神経調整、冷え・痛み・内臓機能改善など |
応用される症状 | 冷え性・肩こり・胃腸の不調・月経痛・不眠・疲労など |
自宅でもできる? | 台座灸やせんねん灸などで安全に実施可能 |
注意点 | 火傷、妊娠中の使用、使用後の体調変化に注意 |
🌐参考:
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日本鍼灸師会「お灸の安全な使い方と効果」
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WHO「伝統医療における灸治療の位置づけ」
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東洋医学辞典(医道の日本社)
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