東京都五反田の女性専用SATO針灸院

軸が整えば、全体は静かに変わる。

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皮膚は境界線か

皮膚は、単なる身体の表面ではありません。

それは、
「私」と「世界」のあいだに引かれた
もっとも繊細な線です。

けれどその線は、
固定された壁ではない。

開き、閉じ、震え、緊張し、
その時々の神経の状態を映し出しています。

 

トラウマは境界を曖昧にする

トラウマ理論において語られるのは、
出来事そのものよりも
“神経系が圧倒された体験”です。

圧倒された神経は、
境界をうまく保てなくなります。

過剰に閉じる。
過剰に開く。
何も感じなくなる。

本来であれば、近づけば少し緊張し、
安心すれば緩むという
柔軟な境界の動きが失われる。

皮膚は、その揺らぎを最初に引き受けます。

慢性的な過緊張。接触への過敏さ。
あるいは逆に、感覚の鈍麻。

それらは“性格”ではなく、
神経の履歴です。

 

ポリヴェーガル理論が示すもの

ポリヴェーガル理論は、
自律神経を「安全の検知システム」として捉えます。

私たちの神経は常に問い続けています。

ここは安全か。
私は守られているか。

安全が感じられるとき、
腹側迷走神経が働き、
呼吸は深くなり、
皮膚はやわらかくなります。

逆に危険を感じれば、
交感神経が優位になり、
皮膚は硬くなり、
触れられることが侵入のように感じられる。

そして極度の圧倒では、
背側迷走神経が優位となり、
感覚そのものが遠のく。

皮膚は、神経状態のスクリーンです。

※ポリヴェーガル理論は現段階では仮説です。

 

皮脳同根という視点

発生学的に見ても、
皮膚と神経系(脳)は同じ外胚葉から生まれます。

触れられるという体験は、
単なる感覚ではありません。

安全かどうか。
受け入れられているかどうか。

それを判断する最前線が皮膚です。

皮膚が緊張しているとき、
神経もまた緊張しています。

 

自傷という境界の叫び

ときに人は、
自らの皮膚に傷をつけるという行為に向かいます。

それは単純な痛みの問題ではありません。

圧倒された内面を、外側に刻む行為。

曖昧になった境界を、
強い刺激で“再確認”しようとする行為。

感覚が麻痺しているとき、
強い痛みは「ここにいる」という証明になることがある。

ここで必要なのは、非難ではなく理解です。

境界が壊れているのではなく、
守る術を失っているだけかもしれない。

 

施術は境界を再学習する場

触れるという行為は、
極めて繊細な介入です。

一定の圧。
一定のリズム。
予測可能な接触。

それは神経にとって、
「安全な関係性」の再学習になります。

皮膚が安心すると、
呼吸が整い、
神経が統合へ向かう。

施術は侵入ではなく、
境界の回復を助ける行為です。

触れられても壊れない。
近づかれても過剰に閉じない。

その感覚が戻るとき、
人は再び“中心”を感じ始めます。

境界は壁ではなく、軸である

境界とは、拒絶の線ではありません。

自分を保ちながら、
他者と関わるための構造。

それが整っている状態が、「軸」です。

軸がある人は、
過度に閉じず、
過度に迎合しない。

皮膚は、その象徴です。

皮膚は境界線。

けれどそれは分断の線ではない。

神経と呼吸と関係性が交わる、対話の線。

その線が静かに整うとき、人は再び、自分の中心に戻ります。

佐藤香織|鍼灸師

2008年より施術の世界へ。

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