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身体のコラム

その膝の痛み、本当に「歳のせい」ですか?― 西洋医学と東洋医学から読み解く「膝痛の正体」とケア方法 ―

朝起きたときの膝のこわばり、階段の上り下りでのチクっとした痛み、正座の後に感じる違和感……
「もう年だから仕方ない」「疲れてるだけ」と思っていませんか?
でもその膝の痛み、実は放っておくと慢性化する「膝蓋下脂肪体炎」など、見逃されやすい疾患かもしれません。

膝の痛みは一言で片付けられるものではなく、原因や体質によって治療アプローチも異なります。
本記事では、西洋医学と東洋医学の両面から膝痛を分類・解説し、
さらに 運動療法・自宅ケア・漢方も含めて、あなたに合った改善方法をお伝えします。

🦵 膝の痛みの種類と原因

【西洋医学的見解】

膝の痛みは以下のような疾患に分類されます。

疾患名 主な原因 症状・特徴
変形性膝関節症 加齢・軟骨のすり減り 歩き始めや階段昇降で痛む。関節が腫れることも。
半月板損傷 スポーツ・加齢による摩耗 膝が引っかかる・動かしにくい・腫れ。
前十字靭帯損傷 急激な方向転換・着地時の衝撃 不安定感、腫れ、強い痛み。
関節リウマチ 自己免疫異常 朝のこわばり、左右の膝に痛み。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝) 運動のしすぎ 膝のお皿の下が痛む。
膝蓋下脂肪体炎 屈伸動作の繰り返し・膝への衝撃 膝蓋骨(お皿)の下が押すと痛む。膝を伸ばすと悪化。

【東洋医学的見解】

東洋医学では、「気・血・水(きけつすい)」のバランスの乱れが、膝の痛みを引き起こすと考えられます。

東洋医学の分類 意味・背景 症状の特徴
寒湿痺(かんしつひ) 冷えや湿気が関節に停滞 天候で痛みが変化、重だるい
瘀血(おけつ) 血流の停滞 刺すような痛み、慢性化しやすい
気血両虚(きけつりょうきょ) エネルギーと血の不足 疲れやすく、関節が弱くなる

💪 運動療法と自宅ケア

【西洋医学のリハビリ・運動療法】

  • 大腿四頭筋の筋トレ:膝関節の安定化に有効

  • ハムストリングのストレッチ:柔軟性の向上

  • 水中ウォーキング:関節への負担を減らしながら運動可能

※膝蓋下脂肪体炎の場合は、急な屈伸運動や圧迫姿勢を避けることが重要です。

【東洋医学的ケア・自宅でできる対処法】

  • 温灸・カイロ:冷えによる膝痛に効果的(膝蓋骨の下も温める)

  • 足湯・温熱療法:寒湿タイプにおすすめ

  • ツボ刺激・経絡マッサージ

    • 委中(いちゅう):膝裏の真ん中

    • 陽陵泉(ようりょうせん):膝の外側

    • 膝眼(しつがん):お皿のすぐ下のくぼみ

🌿 膝の痛みに使われる漢方薬

漢方名 適応体質・症状 特徴
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) 湿気・むくみ体質 むくみやだるさを伴う膝痛に
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) 冷えによる関節痛 高齢者の慢性痛に
牛膝湯(ごしつとう) 気血の巡りが悪い 膝のこわばりや違和感に
疎経活血湯(そけいかっけつとう) 瘀血タイプ・慢性痛 幅広い関節痛に対応、膝蓋下脂肪体炎にも応用可

※漢方は体質との相性が重要です。服用前に専門家に相談しましょう。

🏠 膝痛予防と日常生活の工夫

  • 正座やしゃがみ込みは控えめに

  • 適切なサイズのサポーターを着用

  • 体重管理をして膝の負担を軽減

  • 睡眠・栄養バランスの見直しで自然治癒力アップ


💡 膝蓋下脂肪体炎のような見落とされやすい痛みも、早めの対応が大切です。
西洋的なリハビリと、東洋的な体質改善・鍼灸・漢方を組み合わせることで、慢性的な膝痛にも良い結果が得られます。

佐藤香織

【鍼灸師/鍼灸専門学校の教員資格保有/薬膳アドバイザー/セミナー講師】 2007年より施術の世界へ。冷え性、自律神経、運動器疾患、小児の治療など様々な疾患に対応いたします。

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