私たちは日常生活の中で、明確な病名がつかないけれど「体調がすぐれない」「気分が不安定」と感じることがあります。
それは単なる気のせいではなく、東洋医学では『未病(みびょう)』と呼ばれる大切な状態。
今回はこの「未病」に焦点を当て、鍼灸・整体・ヒロットによる包括的な施術の可能性についてご紹介します。
◆ 「未病」とは何か?——病気と健康の間にある“グレーゾーン”を科学的に読み解く
「未病(みびょう)」とは、古代中国の医学書『黄帝内経』において、「未だ病ならず、しかし健康でもない状態」として記述されている東洋医学独自の概念です。
現代医学的に言えばこれは、サブクリニカルな状態──つまり、医学的検査では異常が見られないが、明らかに自覚症状や不調がある状態──に相当します。
代表的な例には以下のような症状があります:
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慢性的な倦怠感・疲労感
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睡眠の質の低下(浅い眠り・中途覚醒)
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食欲不振や過食
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集中力や記憶力の低下
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胃腸の不快感(ガス、便秘、下痢など)
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慢性的な冷え・むくみ
これらは自律神経系の乱れ、血流低下、炎症マーカーの上昇(CRPの微増)、ホルモンバランスの乱れ(副腎疲労、甲状腺機能低下など)といった、“境界領域の生理的変化”によって生じていることがあります。
東洋医学における生理メカニズムとの対応
東洋医学ではこの未病状態を、体内の「気(エネルギー)」「血(栄養を運ぶ流体)」「水(代謝液)」のいずれか、あるいは複数の流れに滞りや不足、偏りが生じていると解釈します。
これは現代的に言えば、
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気の不足や滞り → 自律神経の機能不全、ATP産生の低下(ミトコンドリア機能)
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血の滞り(瘀血) → 微小循環の障害、慢性炎症
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水の偏り(水滞) → リンパ循環不良、ホルモン代謝の低下、むくみ
などと関連づけて考えることができます。
東洋医学の視点では、これらのサインを見逃さず、病気になる前の段階で適切なケアを施すことが健康維持の基本です。未病は「体からの初期警告」ともいえます。
このように「未病」は、単なる民間概念ではなく、身体の恒常性(ホメオスタシス)が崩れ始めたサインとして、現代医学とも親和性の高い重要な視点です。
◆ 根本アプローチ①:鍼灸による経絡調整と自律神経の安定化
鍼灸では、「経絡(けいらく)」と呼ばれる気血の通り道に鍼やお灸で刺激を与え、体内の循環を正常化します。
特に近年注目されているのが、鍼灸による自律神経の調整効果。
慢性的な不眠やストレスによる胃腸機能低下、免疫力の低下などは、副交感神経の働きが抑制されている証拠です。
鍼灸は副交感神経を優位にし、心身の緊張をゆるめ、深いリラックスをもたらします。
◆ 根本アプローチ②:整体による構造の調整と循環の回復
筋肉や骨格の歪みは、血流やリンパ、神経伝達にも影響します。
整体では、関節の可動域を広げ、筋膜や姿勢バランスを整えることで、物理的な巡りの改善を目指します。
特に「猫背」「反り腰」などの姿勢不良は、内臓の位置にも影響し、消化機能の低下やホルモンバランスの乱れを招く原因となります。
整体で構造的なバランスを取り戻すことは、未病の改善にも大いに役立ちます。
◆ 根本アプローチ③:ヒロットによる深層リラクゼーションと情緒の調整
ヒロットはフィリピンの伝統的手技療法で、温かいオイルを使って筋肉と神経の緊張を和らげる施術です。
慢性的なストレスや疲労が蓄積している方には、「触れること」によって副交感神経が優位になり、心理的・神経的な安心感を得られます。
ヒロットでは体だけでなく、心に溜まった“冷え”や“詰まり”にもアプローチすることができます。
これは、ただのマッサージでは得られない深い癒しです。
「なんとなく不調」を放置しないでください
“まだ病気じゃないから”と不調を我慢し続けると、体はやがて限界を迎え、慢性的な疾患やメンタル不調へと進行することがあります。
未病のうちに、自分の体の声を聞き、整えることが、健康と快適な毎日への第一歩です。
当院でおこなっている鍼灸・整体・ヒロットは、体をただ癒すだけでなく、“根っこから整える、身体の土台を整える”ための手段です。
それぞれの特性を活かしながら、今のお悩みに最適なケアをご提案いたします。
ご自身の「違和感」に気づいたその瞬間が、体と心を変えるチャンスです。
まずはお気軽にご相談ください。
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