東洋医学では四季の変化に応じた「養生(ようじょう)」がとても大切だと考えられています。
春は自然界が芽吹き、動き始める季節であり、人の体や心もその影響を受けて変化します。以下に、春の特徴や身体への影響、そして春に適した生活法・食養生などを詳しく解説します。
春の特徴(東洋医学の五行思想より)
観点 | 内容 |
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五行 | 木(もく) |
臓腑 | 肝(かん) |
色 | 青 |
味 | 酸(すっぱい味) |
気候 | 風(ふう) |
感情 | 怒(いかり) |
春に起こりやすい身体・心の変化
春は「肝(かん)」の働きが活発になる季節です。
肝の主な働き(東洋医学):
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気血の流れをスムーズに保つ(疏泄作用)
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精神・感情の調整(特に怒りとの関係が深い)
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目や筋肉の機能にも関与
春にありがちな不調:
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イライラしやすい、怒りっぽい
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頭痛、めまい、目の疲れ
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生理不順、胸の張り
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アレルギー(花粉症など)
春の養生の基本原則
✅ 1. 気の流れを良くすること
春は自然界の「気」が上昇・発散する時期。人の身体もその影響を受け、気が滞りやすくなるため、肝の働きを助けて「気を巡らせる」ことが大切です。
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軽い運動(ウォーキング、ストレッチ、太極拳など)
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伸びや深呼吸をこまめにする
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朝は少し早く起きて、太陽の光を浴びる
✅ 2. 「肝」のケアを意識した生活
食養生:
良いとされる食材(肝の疏泄を助ける) | 例 |
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酸味のあるもの(少量) | 梅干し、酢、柑橘類 |
青い野菜 | 春菊、せり、菜の花、ほうれん草、クレソン |
芽が出るもの | 豆苗、もやし、たけのこ、ふきのとう |
肝の働きを助ける食材 | あさり、しじみ、なつめ、黒ごま、枸杞の実(くこのみ) |
※ 酸味は摂りすぎると「肝を引き締めすぎる」ため、適度に。
✅ 3. 情緒の安定
肝は「怒(いかり)」と関係が深く、春は感情が不安定になりやすい時期。
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無理なスケジュールを避け、余裕を持った生活を
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笑いや趣味を取り入れてストレスを減らす
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心を落ち着ける音楽や香り(ラベンダー、柑橘系)もおすすめ
春の睡眠・生活習慣
項目 | 養生のポイント |
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起床 | 少し早めに起きて自然の気を取り込む(6〜7時) |
睡眠 | 寝るのは遅すぎないように(23時前がおすすめ) |
入浴 | 夜はぬるめのお湯にゆっくりつかってリラックス |
春におすすめの漢方薬(症状に応じて)
症状 | 漢方例 |
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イライラ、緊張 | 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) |
花粉症、目のかゆみ | 小青竜湯(しょうせいりゅうとう) |
胃腸の調子が悪い | 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) |
※ 漢方薬は体質によって合う・合わないがあります。専門家に相談を。
まとめ:春の養生のキーワード
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「発陳(はっちん)」…古いものを捨て、新しいエネルギーを取り込む
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気を巡らせ、体も心も伸びやかに
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肝をいたわり、情緒の安定を保つ
📚 参考文献:
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『黄帝内経(こうていだいけい)』
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『現代漢方医学大系』医歯薬出版
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『東洋医学ライフハンドブック』東洋学術出版社
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