「補気(ほき)」は、東洋医学でいう「気(=生命エネルギー)」が不足している状態=気虚(ききょ)を改善するための大切な食養生の考え方です。
POINT気虚証とは?
気虚証とは、「気(き)」が不足している状態を意味します。
東洋医学における「気」は、生命活動を支えるエネルギーのようなもので、体を動かし、温め、防衛し、臓腑の働きを促進するなど、さまざまな役割を果たします。
気が足りないと、疲労感や冷え性、便秘など様々な不調が表れます。
以下に、補気のための食材、調理法、生活習慣のポイントなどを詳しくご紹介します。
補気におすすめの食材
補気を助ける食材は、主に脾胃(=消化器)を元気にし、気を生み出す力を高めるものです。
✅ 穀物類(主食)
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もち米:温性で脾を補う。おかゆにすると吸収が良い
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白米(特に玄米や雑穀)
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はと麦:むくみが気になる人にも◎
✅ 根菜類・野菜
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にんじん:脾胃を補い、血も養う
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かぼちゃ:甘味で胃腸を温める
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山芋(長芋):脾・肺・腎すべてに補う「三補の薬」
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じゃがいも、さつまいも:穏やかな補気作用あり
✅ 肉・魚類
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鶏肉(特に胸肉):温性で補気力が高い
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牛肉:気血を同時に補う
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白身魚:消化が良く脾にやさしい(たら、鯛など)
✅ 豆・種実類
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大豆・豆腐・納豆:植物性たんぱく質で脾をサポート
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黒ごま:腎精を補い、気の元を助ける
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栗:甘くて補気・補腎にも◎
✅ 乾物・薬膳食材
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なつめ(棗):補気・補血にすぐれ、精神安定にも
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クコの実(枸杞子):目と肝を養い、元気を補う
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高麗人参・西洋人参:本格的な補気材(使用には専門家の指導を)
調理法のポイント
補気の食養生では、「温かくて消化にやさしい」料理が基本です。
❗おすすめ調理法:
調理法 | 特徴 |
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煮物・スープ | 食材の気を引き出し、吸収しやすくする |
蒸す | 食材の性質を損なわずに補気効果を発揮 |
おかゆ・雑炊 | 脾胃にやさしく、体調が悪い時にも◎ |
🍵 補気におすすめのレシピ例
補気スープ(基本)
材料:鶏肉、山芋、にんじん、なつめ、クコの実、生姜
作り方:
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鶏肉を湯通しして臭みを取る
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すべての材料を鍋に入れ、水からコトコト煮込む(30分~1時間)
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塩でほんのり味を整える(薬膳風)
★体がポカポカ、元気が出る一品です。
食事以外の補気ポイント
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腹八分目を心がける(脾胃を傷つけない)
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朝食はしっかり食べる(気を補いやすい時間帯)
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冷たい飲食は避ける(気の生成が阻害される)
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ストレスは「肝」→「脾」を傷つけるので、リラックスを意識!
補気体質に合う人
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慢性的に疲れやすい
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食後すぐ眠くなる
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顔色が白っぽい
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風邪をひきやすい
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胃腸が弱く、下痢しやすい
📚 参考文献
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『薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』池田書店
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『東方栄養新書』東方出版
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『中医営養学』人民衛生出版社
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