1. 腰痛の概念(西洋医学の視点)
腰痛は、西洋医学では「筋肉・骨・神経・関節」などの異常によって生じる痛みと考えられます。腰痛は日本人の多くが経験する症状であり、その原因はさまざまです。
① 急性腰痛(ぎっくり腰など)
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数日〜数週間で改善する腰痛
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急激な動作や無理な姿勢で発症する
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例:ぎっくり腰(筋・筋膜性腰痛)、椎間板ヘルニアの急性発症
② 慢性腰痛(3ヶ月以上続く腰痛)
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長期間持続する痛み
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椎間板や関節、神経の障害、心理的要因が関係
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例:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性腰椎症
2. 腰痛の主な原因(西洋医学の視点)
① 筋・筋膜性腰痛(ぎっくり腰など)
概要:
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筋肉の炎症や過緊張により痛みが発生
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長時間の同じ姿勢、急な動き、筋力低下が原因
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レントゲンやMRIでは異常が見られない
症状:
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腰を動かすと痛い
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筋肉がこわばる(朝起きたときに悪化)
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ストレスや疲労で痛みが増す
治療法:
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急性期(発症直後):安静+アイシング(冷やす)
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慢性期:ストレッチ、運動療法、マッサージ
② 椎間板ヘルニア
概要:
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椎間板(背骨のクッション)が飛び出し、神経を圧迫する疾患
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20〜40代に多い
症状:
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腰痛と脚の痛み(坐骨神経痛)
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しびれや感覚の異常
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長時間座ると悪化
治療法:
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軽症:薬物療法(消炎鎮痛剤、筋弛緩薬)、リハビリ
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重症:手術(ヘルニア摘出術、内視鏡手術)
③ 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
概要:
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背骨の神経が圧迫され、血流が悪化する疾患
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50歳以上の高齢者に多い
症状:
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歩くと足がしびれる(間欠性跛行 かんけつせいはこう)
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前かがみになると楽になる(自転車はこげる)
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腰痛は軽度のことが多い
治療法:
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薬物療法(鎮痛剤、血流改善薬)
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リハビリ(ストレッチ、体幹トレーニング)
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重症の場合は手術(脊柱管拡大術)
④ 変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)
概要:
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加齢に伴い、腰の骨や軟骨がすり減る疾患
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中高年に多い
症状:
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腰が重い、鈍い痛みが続く
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動き始めに痛い(動くと楽になる)
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腰をそると痛い
治療法:
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運動療法(筋力強化)
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薬物療法(鎮痛剤、湿布)
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腰のサポート(コルセット)
⑤ 心因性腰痛(ストレスによる腰痛)
概要:
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ストレスや不安、うつが原因で腰痛が発生
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レントゲンでは異常が見つからない
症状:
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朝起きると腰が痛い
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休みの日は痛みが軽減する
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ストレスが強いと悪化する
治療法:
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心身のリラックス(ヨガ、瞑想)
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カウンセリングや認知行動療法
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抗うつ薬や抗不安薬の服用(必要に応じて)
3. 西洋医学的な腰痛の治療法
① 保存療法(手術をしない治療)
💊 薬物療法
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):ロキソニン、イブプロフェン(痛み・炎症を抑える)
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筋弛緩薬(きんしかんやく):チザニジン(筋肉の緊張を緩める)
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神経ブロック注射:痛みが強い場合に行う
🩹 物理療法(理学療法)
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温熱療法(ホットパック、赤外線) → 慢性腰痛に効果的
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電気治療(低周波治療) → 痛みの軽減
💪 運動療法(リハビリ)
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体幹トレーニング(腹筋・背筋強化)
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ストレッチ(腰・ハムストリング)
② 手術療法(重症例のみ)
🔹 適応となる場合
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排尿障害がある(馬尾症候群 ばびしょうこうぐん)
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保存療法で改善しない強い神経症状(ヘルニア・脊柱管狭窄症)
🔹 主な手術法
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椎間板ヘルニア手術(内視鏡手術)
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脊柱管狭窄症手術(椎弓切除術)
③ 生活習慣の改善(予防)
📌 腰痛予防のポイント
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姿勢を改善する(猫背を直す)
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長時間同じ姿勢を避ける(30分ごとにストレッチ)
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適度な運動をする(ウォーキング、ヨガ)
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体を冷やさない(特に腰周り)
4. まとめ
西洋医学では、腰痛は**「筋肉・骨・神経の異常が原因」と考え、薬物療法・理学療法・運動療法・手術などで治療します。特に運動療法(体幹トレーニング、ストレッチ)**は、腰痛の予防や再発防止に効果的です。
🔹 急性腰痛(ぎっくり腰) → 安静+冷却
🔹 慢性腰痛(ヘルニア・狭窄症) → 薬+運動療法
🔹 心因性腰痛(ストレス由来) → メンタルケア
腰痛は多くの人が経験する症状ですが、適切な治療と予防で改善できます!
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