腰痛は東洋医学(中医学・漢方医学)において**「腎(じん)」の衰えや気血の滞りが原因となることが多い**と考えられています。現代医学では「筋肉・骨・神経」の問題として扱われることが多いですが、東洋医学では「五臓六腑の不調」「経絡(けいらく)の滞り」など、全身のバランスの乱れが腰痛につながると考えます。
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1. 東洋医学における腰痛の主な原因
① 腎虚(じんきょ) – 腎のエネルギー不足
東洋医学では「腎(じん)は腰の要(かなめ)」と言われ、腎の衰えが腰痛を引き起こすと考えます。
特徴的な症状:
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慢性的な腰痛、だるい痛み
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冷えを伴う腰痛(特に朝に悪化)
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足腰の無力感、疲れやすい
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頻尿や夜間の尿意、耳鳴り
主な原因:
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加齢(腎の気が減少)
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過労や睡眠不足
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過度な性交渉(腎精の消耗)
治療法:
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腎を補う食べ物を摂る(補腎)
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黒ゴマ、黒豆、くるみ、山芋、クコの実
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ウナギ、エビ、豚骨スープ
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腎を温める
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腰にカイロを貼る
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温かい飲み物を摂る(生姜湯、シナモンティー)
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② 気血両虚(きけつりょうきょ) – エネルギーと血の不足
気と血が不足すると、腰に十分な栄養が届かず、慢性的な腰痛が起こります。
特徴的な症状:
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長時間立ったり座ったりすると腰がだるくなる
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疲れやすく、体が重だるい
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顔色が青白く、めまいや立ちくらみがある
主な原因:
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栄養不足や偏った食事
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過労やストレス
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産後の体力低下(女性の場合)
治療法:
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気血を補う食事
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レバー、ほうれん草、プルーン(血を補う)
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米、大豆、ナツメ(気を補う)
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ゆっくりした運動をする(ストレッチ、ヨガ、散歩)
③ 気滞血瘀(きたいけつお) – 気血の巡りが滞る
気の流れが悪くなり、血の巡りが滞ることで、腰に痛みが出る状態です。特に「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血行不良があると、刺すような痛みやしびれが起こります。
特徴的な症状:
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痛みが局所的(特定の一点が痛む)
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動かすと悪化する(ぎっくり腰など)
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患部が冷えると痛みが増す
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腰を押すと痛い、こわばりがある
主な原因:
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長時間同じ姿勢でいる
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ストレスや精神的な緊張
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運動不足
治療法:
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血行を促進する食べ物を摂る(活血)
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生姜、シナモン、黒酢、青魚
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ストレッチやツボ押しを行う
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「委中(いちゅう)」:膝裏のツボ → 血流改善
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「血海(けっかい)」:膝の内側 → 瘀血を解消
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お風呂にゆっくり入る(血流を促進)
④ 寒湿(かんしつ) – 冷えや湿気による腰痛
湿気や寒さが体に入り込むと、腰の気血の巡りが滞り、鈍い痛みや重だるさが起こります。特に梅雨や冬に悪化しやすい腰痛です。
特徴的な症状:
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重だるい痛み(ズーンとした痛み)
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雨の日や寒い日に悪化
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関節がこわばる、むくみやすい
主な原因:
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冷たい環境に長時間いる
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湿気の多い場所に住んでいる
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冷たい飲み物の摂りすぎ
治療法:
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体を温める(温陽)
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しょうが湯、紅茶、シナモンティー
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お風呂に入る(特に足湯が効果的)
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冷たい飲食を避ける
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ツボ押しで温める
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「腎兪(じんゆ)」:腰のツボ(ウエストのくぼみ) → 腎を温める
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2. 東洋医学的な腰痛の治療法
① 鍼灸(しんきゅう)
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経絡(けいらく)の流れを整える
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血行を促進し、気の滞りを解消する
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腎兪(じんゆ)、委中(いちゅう)、三陰交(さんいんこう)などのツボを刺激
② 漢方薬
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腎虚タイプ:六味地黄丸(ろくみじおうがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)
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気滞血瘀タイプ:桃紅四物湯(とうこうしもつとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
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寒湿タイプ:独活寄生湯(どっかつきせいとう)
③ ツボ押し・マッサージ
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「腎兪(じんゆ)」:腎を補い、腰痛を緩和
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「委中(いちゅう)」:膝裏にあるツボで、血行を改善
④ 生活習慣の改善
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腰を冷やさない(特に冬場は腹巻やカイロ)
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適度に動く(デスクワークの人はこまめにストレッチ)
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ストレスを溜めない(ストレスは気滞を招く)
まとめ
東洋医学では腰痛は腎の衰え、気血の滞り、冷えや湿気などが原因と考えられます。体質や原因に応じた食事・ツボ押し・鍼灸・漢方薬を活用することで、腰痛を改善・予防することができます。
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