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吸い玉

吸い玉について歴史や効果を詳しく解説

吸い玉(カッピング)とは?

吸い玉(カッピング療法)は、皮膚にカップを吸着させて陰圧をかけ、血行を促進する療法です。中国医学をはじめ、世界各国で伝統的に用いられており、現代ではスポーツ医学や代替医療の一環としても注目されています。

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1. 吸い玉の歴史

(1) 中国における起源

吸い玉の歴史は非常に古く、約2000年前の中国医学書『黄帝内経』にその記述が見られます。古代中国では「拔罐(ばっかん)」と呼ばれ、瘀血(おけつ:血流の滞り)を取り除くための治療法として発展しました。現在でも、鍼灸や推拿(すいな)と並ぶ重要な治療法の一つです。

(2) エジプト・ギリシャ・中東での発展

  • 古代エジプト(紀元前1500年):『エーベルス・パピルス』にカッピングの記述があり、皮膚病や内臓疾患の治療に使用されていました。

  • 古代ギリシャ・ローマ:医学の父ヒポクラテスが「血液の流れを良くする方法」として推奨し、戦士の治療に用いられました。

  • イスラム世界:「ヒジャーマ(Hijama)」として知られ、現在もイスラム医学の一環として使用されています。

(3) 日本での吸い玉の歴史

  • 奈良時代(8世紀):中国から伝来し、「火罐(かかん)」として施術されるように。

  • 江戸時代(17~19世紀):一般庶民の間でも普及し、「吸角(きゅうかく)」とも呼ばれる。

  • 明治時代以降:西洋医学の台頭により一時衰退するも、近年、代替医療として再び注目される。


2. 東洋医学的な概念と効果

東洋医学では、「気・血・水」のバランスが健康の基本とされています。吸い玉は主に「血」に作用し、滞った血流を改善することで健康を促進すると考えられています。

(1) 気血(きけつ)の流れを改善

吸い玉は、「経絡(けいらく)」という体のエネルギーの通り道を刺激し、気血の流れをスムーズにすると考えられています。これにより、冷え・疲労・内臓機能の低下などが改善されます。

(2) 瘀血(おけつ)を除去する

東洋医学では、「瘀血(おけつ)」=血流の滞りが病気の原因とされます。吸い玉で局所的に血液を集め、停滞した血を体外へ排出することで、新しい血液の流れを促します。

(3) 経絡とツボへの影響

吸い玉は、経絡上の特定のツボに作用し、内臓や神経系に影響を与えます。例えば:

  • 肩井(けんせい):肩こりの改善

  • 足三里(あしさんり):胃腸機能の向上

  • 腎兪(じんゆ):腎機能の活性化


3. 西洋医学的な見解

近年、西洋医学でもカッピングの効果が科学的に研究されています。以下のような生理学的メカニズムが解明されつつあります。

(1) 血流促進とデトックス

陰圧により皮膚・筋肉の血流が増加し、酸素・栄養の供給が改善されます。また、リンパの流れが促され、老廃物の排出が促進されます(デトックス効果)。

(2) 筋膜リリースと疼痛緩和

  • 吸い玉は筋膜を引き上げることで、筋膜リリースのような効果をもたらし、筋肉の緊張を緩和します。

  • 陰圧刺激によるエンドルフィン(鎮痛物質)の分泌が痛みを軽減するとも考えられています。

(3) 自律神経の調整

  • 副交感神経が優位になり、リラックス効果やストレス軽減が期待されます。

  • 交感神経の過剰な興奮を抑えることで、不眠症や慢性疲労の改善にも役立つ可能性があります。

(4) 免疫力の向上

吸い玉による微細な皮膚刺激が白血球の活動を活性化し、免疫系を強化する可能性があります。

(5) 科学的エビデンス

  • 2015年のメタ分析(研究の総括)では、腰痛・頚部痛・片頭痛・関節炎などの慢性痛に一定の効果があると報告されています。

  • 2018年の研究では、吸い玉が筋肉の回復を早める可能性が示唆されています(スポーツ選手のケアに利用される理由)。

【※エビデンスの現状】
  • カッピングの研究は行われていますが、そのほとんどは質が低いものです。
  • カッピングが他の症状・疾患に役立つかどうかについては、結論を出すのに十分な質の高い研究がありません。
  • アメリカがん協会は、「カッピングに健康上の利益があるという主張は、科学的根拠がない」と指摘しています

西洋医学の見解ではまだ民間療法の域を脱していないのが現状です。


4. 吸い玉の種類と方法

(1) 乾罐(かんかん)

最も一般的な方法で、カップ内の空気を抜き、皮膚に吸着させる。

(2) 湿罐(しっかん)

皮膚に小さな傷をつけた後にカッピングを行い、瘀血を直接排出する方法(デトックス効果が強い)。

(3) 動罐(どうかん)

オイルを塗布し、吸着したカップをスライドさせる方法。マッサージ効果が高い


5. 吸い玉の注意点とリスク

適応症:

  • 肩こり・腰痛・関節痛

  • 冷え性・むくみ

  • スポーツ後の筋肉疲労

⚠️ 禁忌・注意点:

  • 妊娠中の女性(腹部・腰部への施術は危険)

  • 皮膚病・傷がある場合(感染リスク)

  • 高血圧・心臓病・血液疾患のある人(血流の変化による影響)

  • 内出血のような跡が残る(通常1週間程度で消える)


まとめ

吸い玉(カッピング)は、東洋医学的には「気血の流れを整え、瘀血を排出する」治療法として、また西洋医学的にも「血流促進・筋膜リリース・鎮痛作用・免疫向上」などの効果が期待されています。

科学的エビデンスも増えており、スポーツ選手の回復や慢性疾患の補助療法としても注目されています。ただし、体質や健康状態によっては適さない場合があるため、適切に活用することが重要です。

佐藤香織

【鍼灸師/鍼灸専門学校の教員資格保有/薬膳アドバイザー/セミナー講師】 2007年より施術の世界へ。冷え性、自律神経、運動器疾患、小児の治療など様々な疾患に対応いたします。

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