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東洋医学

東洋医学における咳(咳嗽)の概念と種類 〜西洋医学との比較〜

東洋医学では、咳(咳嗽:がいそう)は単なる気道反射ではなく、体内の気(き)、陰陽(いんよう)、臓腑(ぞうふ)のバランスが崩れた結果と考えます。肺だけでなく、脾(ひ:消化器)、腎(じん:生命力)、肝(かん:精神活動)とも密接に関係しています。

一方、西洋医学では、咳は気道を刺激する異物を排除するための生理的な防御反応と捉えられます。ウイルス、細菌、アレルギー、炎症などの影響によって発生し、薬(去痰薬、鎮咳薬、抗生物質など)を用いて治療します。

このように、東洋医学と西洋医学では、咳に対する考え方が異なります。本記事では、東洋医学の咳の概念を詳しく説明し、西洋医学との比較も交えながら解説していきます。


1. 東洋医学における咳の基本概念

① 咳は肺の異常だけではない

西洋医学では、咳は気道の異常として考えられますが、東洋医学では咳は「肺」のみならず、他の臓腑との関係でも発生するとされます。

  • 肺(はい):咳の主な臓腑。肺が「宣発・粛降(せんぱつ・しゅくこう)」の機能を失うと咳が出る。

  • 脾(ひ):食事から気を作る臓腑。脾が弱ると痰(たん)が増え、咳が悪化する。

  • 腎(じん):生命エネルギーの源。腎が衰えると、慢性的な咳が出る。

  • 肝(かん):ストレスと関係。肝の熱が肺に影響すると、激しい発作的な咳が出る。

② 咳の発生メカニズム(東洋医学的視点)

咳は外部要因(外邪:がいじゃ)内部要因(内傷:ないしょう)のどちらによっても発生します。

咳の原因 説明 西洋医学的な考え
外邪(がいじゃ) 風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)、熱邪(ねつじゃ)などが肺を侵すことで発生 ウイルスや細菌感染(風邪、インフルエンザなど)
内傷(ないしょう) 体質や内臓の機能低下による慢性的な咳 喘息、アレルギー、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など

2. 東洋医学における咳の種類(咳嗽の分類)

🔹 外感咳嗽(急性の咳)

ウイルスや寒さなどの外的要因で引き起こされる咳。比較的短期間で治ることが多い。

種類 原因 症状 西洋医学での相当
風寒咳嗽(ふうかんがいそう) 冷たい空気や寒邪の侵入 乾いた咳、透明な痰、悪寒、鼻水 風邪による咳
風熱咳嗽(ふうねつがいそう) 熱邪(ウイルス・炎症) 黄色い痰、のどの痛み、発熱、口の渇き ウイルス性咽頭炎、気管支炎
風燥咳嗽(ふうそうがいそう) 乾燥した環境 乾いた咳、のどの痛み、かすれ声 乾燥性咳嗽(エアコンなどの影響)

🔹 内傷咳嗽(慢性的な咳)

体のバランスの乱れによる慢性の咳。長期間続きやすい。

種類 原因 症状 西洋医学での相当
肺陰虚咳嗽(はいんきょがいそう) 肺の陰(潤い)不足 乾いた咳、痰が少ない、のどの渇き 慢性気管支炎、間質性肺炎、咳喘息、気管支喘息、喉頭アレルギー
脾虚湿痰咳嗽(ひきょしったんがいそう) 消化不良で痰が過剰に発生 痰が多い、咳が長引く、胃もたれ 慢性副鼻腔炎、COPD、気管支拡張症、慢性気管支炎
肝火犯肺咳嗽(かんかはんはいがいそう) ストレスによる熱が肺に影響 突発的な咳、イライラしやすい、のどのイガイガ ストレス性喘息

3. 東洋医学と西洋医学の比較

比較項目 東洋医学 西洋医学
咳の考え方 体のバランスの乱れが原因 気道の刺激・炎症が原因
治療の視点 体質改善、内臓機能の調整 対症療法(鎮咳薬、抗生物質など)
アプローチ 漢方、食養生、ツボ療法 薬物療法、手術(重症例)
治療期間 体質改善に時間がかかる 即効性があるが根本解決にはならない

4. 咳の治療と予防(東洋医学的アプローチ)

🔹 食養生(しょくようじょう)

体質に合わせた食事が重要。

  • 肺を潤す → 白きくらげ、梨、杏仁、はちみつ

  • 痰を減らす → 陳皮、はとむぎ、生姜

  • 熱を冷ます → 緑茶、菊花、桑の葉

  • 体を温める → シナモン、生姜、ネギ

🔹 ツボ療法(ツボ押し)

  • 尺沢(しゃくたく)(肺の熱を冷ます)

  • 天突(てんとつ)(のどの痛みを和らげる)

  • 太淵(たいえん)(肺の機能を高める)

🔹 生活習慣

  • 適度な運動で気の流れを良くする

  • ストレス管理(リラックスする時間を持つ)

  • 乾燥を避ける(加湿器、のど飴)


まとめ

東洋医学では、咳は単なる症状ではなく、「体のバランスの乱れ」と考えます。
西洋医学との違いを理解しながら、自分の体質に合った対策を取ることが大切です。

佐藤香織

【鍼灸師/鍼灸専門学校の教員資格保有/薬膳アドバイザー/セミナー講師】 2007年より施術の世界へ。冷え性、自律神経、運動器疾患、小児の治療など様々な疾患に対応いたします。

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